私の「憲法60歳、と朝日の社説」の温度差
【2007/05/10】
私は、昭和5年(1930年)に、北海道札幌市に生れ、小学校に入学、国民学校を卒業した。当時覚えた「単語」は、「滅私報国」、「鬼畜米英」、「紀元は 2600年」、「忠君愛国」、「八紘一宇」、「万世一系の天皇」、「日本は神国」、「君君ならずとも臣臣たれ」、「士農工商」、などである。 この「士農工商」の序列を、国権の最高議決機関が国会の、「議会制民主主義」である現在に当てはめてみると、日本の権力の序列は「官政業」(役人、政治家、政党、報道関係者、経済界、法曹界、産業界)で、役人の直接の支配下にあるものとして「教師」「医師」「看護師」などがある。最近、「職能集団のタブーの崩壊」が始まった。
5月3日の朝日新聞の社説、第1面は、「提言 憲法60年、提言日本の新戦略」論説主幹 若宮啓文、「9条を生かし、平和安全基本法を」「21本の社説 17~24面に掲載」 <地球と人間>2,3,4.5.6.7.<グローバル化とアジや・イスラム>8.9.10.11.12.13.<憲法9条と平和・安全保障>14.15.16.17.18.19.<日本の外交>20.21.が掲載されている。
当日の 声欄「憲法60歳」(p14)「格好いい前文 持ち歩き暗記」 障害者団体職員 坂下 共(東京都立川市 28歳)「三権分立」や「基本的人権の尊重」というキーワードは中学でまなびました。でも憲法の役割や立憲主義の意味に関心を深めたのは2年ほど前です。そして昨年から私は憲法の前文を定期入れに挟んで持ち歩いています。電車待ちや手持ちぶさたの時に目を通し、暗記しようと努めています。
/ 前文は読めば読むほど味があります。「平和を愛する諸国民の公正と審議を信頼し」や「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」が気に入っています。
/ ダサイとか青臭いとか言う人もいるでしょう。でも大戦の惨禍に覆い尽くされた世界で、戦争の放棄を揚げた9条は、もう二度と戦わないぞという強い決意だったに違いありません。 / 憲法をあらためがっている人たちは、日本に攻め込むおそれのある国やテロ組織の存在を理由にあげます。でも力に力で対抗しても暴力の連鎖が止まらないことはイラク戦争で明らかになったのではありませんか。/ 今の憲法の前文と9条こそ平和を達成する具体的で現実的な道だと思います。そして、とても格好いい。
さらに、 声欄に「憲法60歳」(p14)「生存権の25条実現を目指そう」 無職 福田 示知恵(みちえ)(奈良県橿原市 64歳) 9条と並んで、特に大切にしたいのが25条である。生存権について単に命をつなぐというのではなく、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」と書かれていることに胸があつくなる。
/ 現在の政策の中で、あってなきごとの25条ではある。産科・小児科が次々に閉鎖され、医者も過労死する。通院が長期になった患者は金食い虫のように言われ、保健料が払えないと保険証を取り上げられる。
/ 働いても働いても生活できない者があふれている。子どもの教育費を蓄えているから生活保護をうけられない母子家庭の母親は、幾つもの仕事をこなす。25条がうめいている。
/ 「健康で文化的」とは確かに抽象的ではある。しかし、人が人らしく生きるのに必要なことを、時代ごとに実現していくべきだ。
/ 誰かにお金をねだるのではない。自分達の税金や保険料をまっとうに使うことを要求しているのだ。
この日朝日新聞には、異例なことだが、「21本の論説が掲載」されている。それらは、現在の、日本の平均的知識人の「常識の偏り、弱点」を如実に示している。つまり、「教育、育児、医療の問題が殆ど論じられていない」そこで、広辞苑で「民主主義」「教育」を見た。民主主義:主たる属性として1.基本的人権、2.自由権、3.平等権、4.多数決原理、5.法治主義の6つがある。(わが国では4.5.があって、1.2.3.がない、)教育:1.教え育てること。2.人を教えて知能をつけること。3.人間に他から意図を持って働きかけ、望ましい姿に変化させ、価値を実現する活動。(これは、現在の情報化社会 IT(OS、プログラム、データ)の常識ともかけ離れている。)しかし、その欠点を、読者が指摘しているのは救いである。日本政府の認識は、国家の存続に深刻な影を投げかけている。